離婚コラム
配偶者が家を出て行ったきり行方不明なので離婚したい
離婚するには、いきなり、訴訟を提起するのではなく、調停で話合いをする必要があります(調停前置主義)。
しかし、配偶者が家を出て行ったきり戻らず、どこにいるのかも分からないケースもあります。
その場合はどうすればよいのでしょうか。
1.住所の調査
相手は家を出て行ったきり連絡がつかないし、どこにいるのか分からないと思っていても、例えば、相手が住民票を移転している場合であれば、それをたどることで住所が判明するケースもあります。
よって、まずは、住民票や戸籍の附票で、現在の登録されている住所を調べます。
それで住所が判明すれば、そちらに連絡し、離婚の話し合いをしたり、話がつかない場合には、調停を申し立てることとなります。
2.住所が分からない場合
相手が引越しをしているのに住民票を移転していないケースだと、相手の実際の住所を調べることはかなり困難になります。
住所・居所が分からない場合、就業先に送達することも認められていますが、そもそも行方不明であるとすると、就業先も不明であるということになるのではないかと思われます。送達先が不明である場合には、調停前置主義は適用されず、離婚訴訟を提起することとなります。この場合には、住所は分かりませんので、公示送達の方法によることとなります。
公示送達は、就業先も含め調査を尽くしたが、所在が分からなかった場合に認められる送達の方法であり、裁判所の掲示板に訴状が掲示されることになります。
3.離婚原因
配偶者が長年にわたって行方不明の場合、離婚原因として、悪意の遺棄(民法770条1項2号)に該当すると思われます。
悪意の遺棄とは、民法752条の同居・協力・扶助義務を正当な理由なく履行しないことをいいます。
そのほかに、3年以上生死不明である場合には、同条1項3号に該当することもあり得ます。
ただし、生死不明ですので、行方不明であるだけでなく、行方不明になったときの事情やその後の状況から生死が不明であると言えるような状況であることが必要となります。
また、婚姻を継続しがたい重大な事由(同条1項5号)も合わせて主張することが多いです。
4.判決
本来は、原告と被告がそれぞれの主張立証を尽くして、判決が下されますが、公示送達の場合には、被告となる相手の反論はないまま訴訟が進められるのが通常であるため、原告のの側の主張立証のみがなされ、判決が下されることになります。
そして、判決も公示送達の方法により送達され(裁判所の掲示板に掲示され)、その後2週間経過すると、判決が確定します。
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