離婚コラム
再婚したら養育費はどうなるの?
離婚が成立し、親権者も養育費も決めたけれども、将来、再婚したら、養育費はどうなるのだろうか。
1.義務者(養育費を支払っている側)が再婚した場合
義務者が再婚した場合、義務者は、その再婚相手や再婚相手との間との子(養子縁組をした場合を含む)の扶養義務を負うことになりますので、単純に考えれば、離婚した当初に比べ、負担が増えることになります。
そのため、離婚した当初の取り決めのとおりに支払いをすることが困難となる場合があります。
この場合には、義務者としては、養育費減額の調停の申立てをする方法があります(下記3参照)。
2.権利者(養育費を受け取っている側)が再婚し、子と再婚相手が養子縁組をした場合
子と再婚相手が養子縁組をすれば、その子の扶養義務は、第1次的には親権者と養親となった再婚相手が負うべきこととなります。
そのため、親権者ではない実親が親権者に対して支払うべき子の養育費を見直すべき事情に当たり、親権者及びその再婚相手の資力が十分でなく、子について十分に扶養義務を履行することができないときは、第2次的に親権者でない実親が親権者に対して、その不足分を補う養育費を支払う義務を負うことになります。
どのような場合に「十分に扶養義務を履行することができない」とするのかについては、生活保護法による保護の基準によるとする裁判例もあれば、それは一つの目安としつつ、それだけでなく、子の需要、非親権者の意思等諸般の事情を総合的に勘案すべきとした裁判例もあります。
ただし、再婚相手と子が養子縁組をしたという事情があっても、自動的に義務者が負担をしなくてよくなるわけではなく、当事者間の話合いまたは家庭裁判所の手続き(養育費減額調停・審判)によって変更する必要があります。
3.養育費減額の調停の申立て
養育費の減額を求める場合には、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをします。
調停で話合いがまとまらない場合には、審判手続きに移行します。
●事情の変更
扶養について、協議又は審判があった後事情に変更が生じた場合には、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができます(民法880条)。
どのような場合に、事情の変更があると認められるのかが問題となりますが、もともと調停で合意していたが後になって減額を申し立てた事案では、調停合意した内容は最大限尊重されなければならないので、調停の当時、当事者に予測不能であったことが後に生じた場合に限り、これを事情の変更として評価して、調停の内容を変更することが認められるとした裁判例があります。
例えば、合意後に、働いていた会社が倒産し、やむを得ず転職をしたが、大幅に収入が減ったなどという場合は、事情の変更があると認められるでしょう。
また、合意後に、義務者が再婚し、再婚相手との間に子が出来たりした場合にも、一般的には。事情の変更があったと認められるでしょう。ただし、例えば、合意時に交際相手がいて、合意後まもなくその交際相手と結婚し、その連れ子と養子縁組をしたなど、合意時に予測可能な事情であったと評価される場合には、事情の変更として認められない場合もあります。
権利者が再婚し、再婚相手と子が養子縁組をした場合にも、事情の変更がある場合となります。
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