不貞行為の証拠とは? 立証に必要な証拠の種類と集め方・注意点を解説 |渋谷区初台駅の離婚に経験豊富な女性弁護士

不貞行為の証拠とは? 立証に必要な証拠の種類と集め方・注意点を解説

配偶者の不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合、その事実を裏づける証拠が必要になります。当事者の記憶や印象だけでは、相手が事実を否定したときに主張を通すことが難しくなるためです。
一方で、「どのような資料が証拠として扱われるのか」「どの程度そろえれば足りるのか」がわかりにくく、判断に迷われる方は少なくありません。証拠の収集方法によっては、かえってご自身が不利な立場に置かれてしまう場合もあります。
この記事では、不貞行為の立証において求められる証拠の考え方、証拠として扱われやすい資料の種類、収集の際に注意すべき点、証拠が十分にそろっていない場合の進め方について、順を追って整理します。
 

不貞行為とは——何を立証する必要があるのか

慰謝料請求の根拠となる「不貞行為」とは、配偶者以外の異性と性的関係を持つことを指します。民法770条1項1号は、不貞行為を法定離婚原因のひとつとして定めており、同時に民法709条の不法行為として損害賠償の対象にもなります。
したがって、慰謝料請求において立証すべき事実は「性的関係があったこと」です。二人で食事をした、頻繁に連絡を取り合っていたという事情だけでは、原則として不貞行為には該当しません。
 

直接証拠と間接証拠

性的関係そのものを直接示す資料(いわゆる直接証拠)が得られるケースは、実務上それほど多くありません。多くの場合は、複数の間接的な資料を組み合わせて、性的関係があったと推認できるかどうかが判断されます。
たとえば、宿泊施設への二人での出入りが確認できる記録は、それ自体が性的関係を直接写したものではありませんが、社会通念に照らして性的関係の存在を強く推認させる資料と評価されます。
 
証拠の評価は、一つの資料だけで判断されるわけではありません。
複数の資料を総合して、不貞行為があったと認められる程度の事情が示されているかどうかが検討されます。
決定的な資料が一つないからといって、慰謝料請求ができないと決まるわけではありません。
 

証拠として扱われやすい資料の種類

実務上、不貞行為の立証に用いられることが多い資料には、次のようなものがあります。それぞれ証拠としての性質や強さが異なります。
 

宿泊施設への出入りが確認できる写真・動画

二人でホテルに入り、一定時間の後に出てくる様子を記録した写真や動画は、証拠としての価値が高い資料のひとつです。撮影日時が確認できること、施設名や建物の外観が判別できることが望ましいとされています。複数回にわたる記録があれば、関係の継続性を示す資料にもなります。
 

探偵事務所・調査会社の調査報告書

専門の調査会社が作成する調査報告書は、日時・場所・行動の経過が体系的に記録されているため、訴訟においても証拠として扱われやすい資料です。費用の負担はありますが、ご自身で尾行や撮影を行うことに伴うリスクを避けられる点も利点といえます。
 

メッセージアプリ・メールのやり取り

性的関係を示す内容や、それを推認させる表現を含むメッセージは、間接証拠として用いられます。ただし、メッセージ単体で性的関係の存在が認定されるとは限らず、他の資料と組み合わせて評価されることが一般的です。
記録として残す際は、送受信の日時と相手が判別できる形で保存することが望まれます。
 

クレジットカードの明細・領収書

宿泊施設の利用履歴や、二人分の飲食・旅行費用の支払い記録は、行動の事実を裏づける資料になります。他の資料に記録された日時と照合できる場合に、証拠としての意味が大きくなります。
 

本人が事実を認めた記録

配偶者や交際相手が不貞行為を認めた発言の録音、書面での謝罪文、誓約書などは、証拠として重要な位置を占めます。もっとも、認めた内容が曖昧である場合には、慰謝料の金額を検討する際の材料としての比重が変わることもあります。
 

証拠の収集にあたって注意したいこと

証拠を集める過程で、法令に触れる行為に及んでしまうと、その資料が証拠として採用されない可能性があるほか、ご自身が責任を問われる立場になることもあります。
 

避けるべき収集方法

  • 配偶者の携帯電話のパスワードを解析するなど、無断でロックを解除して内容を取得する行為
  • 相手方の車両や所持品に無断でGPS機器を取り付ける行為
  • 相手方の居宅の敷地内に無断で立ち入って撮影する行為
  • 際相手の勤務先などに事実を伝え、社会的評価を低下させるような働きかけをする行為

 
これらの行為は、不正アクセス禁止法・ストーカー規制法・住居侵入罪・名誉毀損などに該当する可能性があります。証拠の必要性が高い場面ほど、収集方法の適法性について事前に確認しておくことが望まれます。
 

資料の保管方法についても配慮を

集めた資料が相手方に発見され、削除や破棄をされてしまうと、それまでの労力が失われることになります。特に、同居されている場合は保管場所に配慮が必要です。
写真やメッセージのスクリーンショットは、端末内だけでなくクラウドストレージやご自身のメールアドレス宛に送信するなど、複数の場所に控えを残しておく方法が考えられます。紙の資料についても、ご実家や信頼できる方のもとに預けておくことで、紛失のリスクを下げられます。
 

収集の時期についての考え方

不貞行為に基づく慰謝料の請求権には、不貞の事実と相手方を知ったときから3年という消滅時効の定めがあります。資料の収集に時間をかけすぎた結果、請求できる期間が経過してしまうことのないよう、時期についても意識しておく必要があります。
一方で、慌てて行動した結果、相手方に察知されて証拠が失われたり、収集方法に問題が生じたりすることもあります。どの時期にどこまで進めるかについては、個別のご事情を踏まえて判断することが望まれます。
 
どこまでの行為が許容されるかは、状況によって判断が分かれる場合があります。
「この方法で資料を集めてよいか」と迷われた際は、行動に移す前に弁護士へご確認いただくことをお勧めします。
 

証拠として扱われやすい資料の整理

資料の種類 証拠としての性質
調査会社の調査報告書 日時・場所・行動が体系的に記録され、証拠力が高い
宿泊施設への出入り記録 性的関係を強く推認させる資料。複数回あるとより有力
メッセージアプリの履歴 間接証拠。他の資料と組み合わせて評価されることが多い
クレジットカード明細 行動の裏づけ資料。他の記録との照合で意味を持つ
本人が認めた録音・書面 内容が明確であれば有力な資料となる
交際相手の自宅への出入り 宿泊を伴う場合は有力。単回では判断が分かれることも

 

証拠が十分にそろっていない場合の進め方

現時点で手元に十分な資料がない場合でも、慰謝料請求を検討する余地がなくなるわけではありません。状況に応じて、次のような進め方が考えられます。
 

本人に事実関係を確認する

配偶者や交際相手に直接確認する際、その場のやり取りを記録に残しておくことで、後の資料となる場合があります。感情的な追及ではなく、事実関係を落ち着いて確認する姿勢が、結果として有用な記録につながることが多いといえます。
 

調停・訴訟の手続の中で明らかにする

調停や訴訟の場では、相手方に対して資料の提出を求めたり、事実関係の説明を求めたりすることができます。当事者間の話し合いでは明らかにならなかった事情が、手続の中で確認される場合もあります。
 

弁護士会照会を利用する

弁護士に依頼した場合、弁護士会照会という制度を通じて、宿泊施設の利用記録などについて照会を行える場合があります。ご自身では取得が難しい情報について、法令に基づいた方法で確認できる点が特徴です。
 

調査会社への依頼を検討する

調査会社への依頼を検討される場合は、依頼の前に弁護士へご相談いただくと、どのような資料が必要か、どの時期に調査を行うのが適切かといった点を整理したうえで進められます。
 

証拠と慰謝料の金額の関係

集めた資料は、不貞行為の有無を示すだけでなく、慰謝料の金額を検討する際の材料にもなります。
 

関係の期間や頻度を示す資料

不貞関係が長期間にわたっていた場合や、頻度が高かった場合には、精神的苦痛が大きいと評価される傾向があります。メッセージのやり取りの期間、宿泊施設の利用回数などの記録は、こうした事情を示す資料になります。
 

相手方が既婚者であることを知っていたかを示す資料

交際相手に対して慰謝料を請求する場合、相手方が配偶者のいる方であることを知っていたか、または知らなかったことに過失があったかが問題となります。
結婚指輪を着用していた、家族の話をしていた、SNSに家族の投稿があったといった事情を示す資料があれば、「知らなかった」という説明が受け入れられにくくなります。
 

精神的な影響を示す資料

不貞行為を知ったことにより心身の不調が生じ、医療機関を受診された場合には、診断書や通院の記録が精神的苦痛の程度を示す資料となります。現在通院されている方は、記録を保管しておかれることをお勧めします。
 

よくあるご質問

Q. ホテルへの出入りの写真だけで、慰謝料を請求できますか。

A. 宿泊施設への二人での出入りが確認できる写真は、証拠としての価値が高い資料です。もっとも、相手方が「食事のために立ち寄っただけ」といった説明をする可能性もあります。他の資料と併せて示すことで、主張の説得力が高まります。お手元の資料をご覧いただければ、現時点での見通しをお伝えできます。
 

Q. 相手が不貞行為を否定しています。この場合はどうなりますか。

A. 相手方が事実を否定するケースは珍しくありません。その場合でも、客観的な資料が複数そろっていれば、不貞行為があったと認定されることがあります。現在お持ちの資料でどこまで主張できるか、追加で必要な資料があるかについて、個別に検討することになります。
 

Q. 配偶者の携帯電話の画面を見てしまいました。証拠として使えますか。

A. 置かれていた端末の画面が点灯していて内容が目に入った、といった状況であれば、証拠として扱われる可能性があります。一方、パスワードを解析するなどして無断でロックを解除した場合には、取得方法の適法性が問題となることがあります。具体的な状況をお伺いしたうえで判断させていただきます。
 

Q. 証拠はどのくらいの量が必要ですか。

A. 必要な資料の量に一律の基準はありません。一つの資料の証拠力が高ければ少数でも足りることがあり、逆に個々の証拠力が弱い場合は複数の資料の積み重ねが求められます。お手元の資料を拝見したうえで、追加の収集が必要かどうかをお伝えします。
 

まとめ

不貞行為の証拠について、本記事で整理した内容を振り返ります。
 

  • 慰謝料請求で立証すべきは「性的関係があったこと」であり、精神的な親密さのみでは不貞行為に該当しない
  • 直接証拠が得られることは多くなく、複数の間接証拠を組み合わせて判断されるのが一般的
  • 調査報告書・宿泊施設への出入り記録・本人が認めた記録は、証拠としての価値が高い
  • メッセージ履歴やカード明細は、他の資料と照合することで意味を持つ間接証拠となる
  • 無断でのロック解除やGPSの設置は、適法性に問題が生じる可能性があるため避けるべき
  • 資料が十分でない場合も、調停・訴訟の手続や弁護士会照会によって事実が明らかになることがある

 
「手元の資料で慰謝料請求ができるか判断がつかない」「これから証拠を集めたいが、どこまで自分で行ってよいかわからない」といったご相談を承っております。ご事情を伺ったうえで、進め方をご一緒に検討いたします。

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