離婚コラム
調停を申し立てられたら
「配偶者と別居しているが、離婚の話合いが進まない中で、突然、裁判所から、調停期日の呼出し状が届いた。日にちも勝手に指定されているが、行かなくてはいけないのか、どう対応すればよいのか。」というようなご相談はよくあります。
目次
1.答弁書の準備
まず、封書の中には、答弁書等返送が必要となる書類が入っていますので、そちらを期限までに作成して提出しましょう。
2.期日が勝手に指定されているけれど?
第1回期日は、裁判所と申立人で決めてしまうため、相手方(申し立てられた側)は都合がつかないことも多いです。その場合には、同封されている「進行に関する照会回答書」に、当日は差支えることを記載し、欠席することができます。
2回目以降の期日についても、「進行に関する照会回答書」に相手方の希望日など記載する欄があります。
第1回期日について、相手方が差支える場合には、相手方欠席のまま、行われることになります。その場合、まず、第1回期日に申立人の言い分を、第2回期日の初めに相手方の言い分を、調停委員がそれぞれ聞くことになります。
3.調停委員ってどんな人がやっているの?
調停委員は,調停に一般市民の良識を反映させるため,社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。具体的には,原則として40歳以上70歳未満の人で,弁護士,医師,大学教授,公認会計士,不動産鑑定士,建築士などの専門家のほか,地域社会に密着して幅広く活動してきた人など,社会の各分野から選ばれています。
夫婦関係調整や婚姻費用分担請求の調停の場合、男女の調停委員がつきます。
調停委員は、公平な第三者として、当事者双方の話を聞きながら、話合いにより何らかの合意ができるかどうか調整を図ることになります。
ちなみに、普段の調停期日ではあまり会うことはありませんが、調停委員2名のほかに担当裁判官がいて、この3名で調停委員会が構成されています。
4.話すのが下手なので、きちんと伝えられるか不安
基本的に、調停では、当事者が、交互に、調停委員がいる部屋に入り、自分の考えや言い分を調停委員に話します。そして、調停委員が、こちらの言い分を相手に伝え、相手の言い分をこちらに伝え、その中で話し合いが行われます。
それゆえ、お互いに、面前で言い合うわけではありませんので、相手のことは気にすることなく、落ち着いて、自分の思いを話すようにしましょう。
とはいえ、調停委員の前で話すこと自体に緊張する方もおられます。また、自分のことを責められているように感じると、興奮したり、パニックになってしまったりして、本当に言いたいことがうまく話せなくなってしまう場合もあります。
それゆえ、言いたいことは予めメモして、手元に置いておいたり、時系列が分かりにくくなりそうな場合は、ご自分でも、年表のような形で、出来事を箇条書きにしておいたりすると、落ち着いて話しやすくなると思います。
不安な場合には、弁護士に依頼することもできます。
弁護士は、あなたの話を事前にお聞きして、それを整理して、あなたの言い分を調停委員に伝えるお手伝いをしたり、書面を作成したりします。
5.調停はどのくらいの期間やるの?
ケースバイケースです。
早ければ、2,3回で終わることもあれば(1回で終わってしまうこともあります)、5,6回やっても終わらないこともあります。
1ヶ月に1度くらいの目安で期日が入ります(当事者や調停委員の都合が合わないと、次回期日が2ヶ月位先になってしまうこともあります)。
6.調停はどうやったら終わるの?
調停は話合いですので、お互いに合意できれば、調停が成立して終了します。
他方で、お互いの主張が平行線のまま歩み寄れないような場合は、調停は不成立となり終わります。夫婦関係調整は調停が不成立となればそれで終了となります。
婚姻費用分担請求の場合は、調停が不成立となった場合には、審判手続に移行します。
7.自分で対応するか、弁護士に依頼するか迷う場合
調停の場合、話合いですので、ある程度は自分で対応することも可能です。
他方で、自分一人で対応することは時間的にも精神的にも負担が大きいと感じる場合には、弁護士に依頼する方がよい場合もあります。
そのあたりは、事案の性質、ご自身の性格や様々なご事情、相手に代理人が付いているかどうか等にもよるところです。
また、調停委員は公平な第三者ではありますが、やはりそれぞれに個性がありますので、調停委員との相性の問題が発生する場合もあります。
迷う場合には、まず、弁護士に相談だけでもされることをお勧めします。
弁護士に相談される方や依頼される方はいろいろな問題やご事情を抱えていらっしゃいます。同じ法律問題でも、解決の仕方は一様ではありません。それは、抱えている方の人生がそれぞれ違いますから、当然と言えば当然です。
その中で、その方にとって最善の解決策を見つけることが大事であり、私たち弁護士はそのために智恵を絞ります。実際に問題が解決したとき、依頼者の方に喜んでいただけたとき、この仕事のやりがいを感じます。依頼者の方の笑顔は、私にとっての励みになっています。
これからも、依頼者の方々の問題解決のために尽力していきたいと考えています。