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離婚コラム

悪意の遺棄

1.悪意の遺棄とは

裁判上の離婚原因として、「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)があります。

「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく、同居・協力・扶助義務を履行しないことをいうとされています。例えば、同居を拒否したり、生活費を支払わない場合等です。

ちなみに、同居・協力・扶助義務というのは、民法752条に、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と規定されています。

では、一方の同意がない状態で、別居している場合はすべて「悪意の遺棄」に当たるのかというと、そうではありません。例えば、配偶者の暴力から逃げるために別居せざるを得ない場合は、正当な理由に基づくため、悪意の遺棄には当たりません。

また、有責配偶者に対して生活費を支払わない場合も、悪意の遺棄には当たりません。

 

2.悪意の遺棄と認められた例

①夫が不貞行為を繰り返した末に、一方的に別居をした事案について、夫は、正当な理由なく本件別居を行ったものであって、これは妻に対する悪意の遺棄に当たるというのが相当であるとされました(名古屋高裁平成21年5月28日)。

②夫が、事前の説明をすることもなく、一方的に別居を開始し、妻より関係の修復を求められても、具体的な同居に向けた協議・提案等を行うことなく、これを拒絶して別居を継続していた事案について、悪意の遺棄に当たるとされました(東京地裁平成29年9月29日)。

 

3.悪意の遺棄と認められなかった例

①夫が元々家事や子育てに非協力的であったり、身勝手な行動を繰り返したり、生活費を十分に入れないなどして、円満な婚姻関係の回復が難しい状態で、妻が別居を開始したことについては、正当な理由があるため、悪意の遺棄には当たらず、その後も別居に至るまでの態度を改めようとはしていない夫に対して、妻が別居及び離婚の意思をさらに強くすることもやむを得ないため、別居開始後も別居を継続することについて、妻には正当な理由があるとしました(東京地裁平成28年1月29日)。

②妻が出産のために実家に帰省し、その後、戻らなかった事案で、初めての新生児の育児に追われる中、自宅に戻れば平日はほとんど一人で家事及び育児をこなさなければならないことや、乳児を抱いて自宅の外階段を上り下りすることに妻が大きな不安を抱き、それが払拭されなかったためであり、また帰宅予定日に体調を崩していたこともやむを得ないことであり、悪意の遺棄をしたとまでは言えないとされました(東京地裁平成28年3月18日)。

 

この記事の監修者

佐田理恵弁護士 (第二東京弁護士会所属)

Sada Rie

弁護士に相談される方や依頼される方はいろいろな問題やご事情を抱えていらっしゃいます。同じ法律問題でも、解決の仕方は一様ではありません。それは、抱えている方の人生がそれぞれ違いますから、当然と言えば当然です。

その中で、その方にとって最善の解決策を見つけることが大事であり、私たち弁護士はそのために智恵を絞ります。実際に問題が解決したとき、依頼者の方に喜んでいただけたとき、この仕事のやりがいを感じます。依頼者の方の笑顔は、私にとっての励みになっています。

これからも、依頼者の方々の問題解決のために尽力していきたいと考えています。

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